よかった所

 

 今まで行ったところで一番よかったところはどこですか?よく聞かれる質問だ。

 アラスカの氷河も素晴らしかったしアンデスの山並みも感動した。そうそう自転車で走ったオーストラリアの平原もすごかった。

 でも一番よかったところと聞かれても限定はできない。たとえどんなに素晴らしい風景でもそのときの自分の気持ちでよくも悪くも感じるものだからだ。

 今だから穏やかに話せるが、20代はじめの頃、自分をゼロにして、誰も自分のことを知らない世界で己の体と心を鍛えようと真冬の北海道に渡った。

 まずは電車で長距離を移動し走りたい場所に着いたら自転車を組み立てて雪の大地を走る。北海道1周が終わり、函館に戻ってきた頃には予定通り無一文になっていた。

当時はまだ通っていた青函連絡船の港で、旅先で知り合った仲間と別れ際に「がんばるぜ!」そう叫んだが、底冷えの函館の町を歩きだすと寂しさと不安で涙があふれ出た。自ら望んだ事なのだが、私にとって函館の町はさびしく辛い町だ。

 更に時代は遡り高校生の頃だ。自転車で長崎方面を走っていた。もちろん貧乏旅行だ。雲仙岳を越えてとある漁村で残り少なくなった米を炊きながら「これからどうしよう。鹿児島まであと500kmはあるなぁ。フェリー代もないし」と考えていた。

 すると近所の女子高校生が声をかけてきた。私の事情を聞いて彼女は「ちょっと待っていてね」と言うと家へ帰り、米と缶詰を持ってきてくれたのだ。

 当時は女性の手を握ることさえできなかった私はただただ頭を下げていた。もちろん彼女は美人で(顔は覚えていないが・・・)聡明であった(定かではないが)。

だから島原半島の小浜はそんな事情で、私にとって世界で一番素敵な場所の一つである。

 ようするに素晴らしい風景や史跡なども大事だが、どんなふれあいがあったかも大切な要素だ。

 小浜の女性と会いたいが当時女子高校生だった彼女は私と同世代なので46〜47歳だ。綺麗な思い出のままにしておこう。


雲仙の地獄。


壊れたバスが置いてあったのでその中で料理する。
これが最後の食材だった。


自転車旅行が楽しくてしかたがなかった。


いただいた食料で元気に西海橋を越えてゆく。

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