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屋久島〜口永良部島海峡横断ツアー

7月30日 快晴なのだ。(最高気温33.2、快晴、カヤック移動距離34.8km、カヤック移動時間6時間50分)データー提供ジョイカムカヤックス

いよいよ出発だ! ゆったりと口永良部島を目指す だんだん近づいてきた 4時間ほどで口永良部島へ到着 振りかえると屋久島が浮かんでいた
 我々はまだ夜が明けきれない黒潮の海に漕ぎ出した。振り返ると屋久島の深い原生林が覆いかぶさるように聳えている。目の前約20km先には口永良部島がそのごつごつとした山容を見せているはずだが、今はまだぼんやりと浮かんでいるだけだ。総勢11名のシーカヤッカーは黙って漕ぎ進んでいた。

 なんて調子でいつまでも書けるはずがない。しかも今回もこの超個性的なメンバーが黙って漕ぎ進むはずなどない。出だしから「うぉりゃぁ〜〜!!口永良部島を目指すでぇ〜〜」「おぅ〜〜!!」そんなノリだ。
 漕ぎ出すといつものように歌姫ことくみちゃんの歌声が水面に流れる。今日も快調のようだ。まあ彼女はアウトドアではいつも快調なのだが・・・ペアのダンディKOMUROさんも一緒に歌っている。
 我々11名は、遥か彼方の口永良部島を目指す。少し波が出てきたが問題はない。どんどん西へ西へと進む。それぞれで語り合い、たまに水を掛け合いながら漕ぐ。
 MIYAKOさんが少し船酔いのようだ。でも笑顔はかかさない。本当にアウトドアが好きなんだなぁ・・・後ろを漕ぐご主人がカバーしている。ほほえましい姿だ。
 今回は私以外、二人乗りのカヤックを使っている。この二人乗りは別名「離婚舟」と言われている。最初は仲がいいのだがだんだんと調子を合わせるのがいやになり、最後はペアを解消した例がたくさんある。まあ今はこの話は黙っておこう。
 時々トッピー(トビウオの事をこのあたりではこう呼ぶ)が目の前から飛んでゆく。かなりの飛翔だ。きらきらした水面を飛び交う銀色のトッピーはとても美しい。特にシーカヤックは目線が低いので感動も大きい。
 屋久島でガイドをしている畠中くんはペアのAKKIE相手に落ちのないギャグを連発しているようだ。こちらは無視しとこう。
 KUBOちゃん&ずんきちコンビは相変わらず仲がいい。お互いの写真を撮りながら楽しんでいる。こんな時はほっておく。
 今回は昨年大活躍した筋に君ことTAMURAさんが突き指とのことだ。で参加者中で成長著しいジョイカムさんと組ませて全体のバランスをとろうとした。この作戦は上手く機能すると思っていたが大誤算だった。
やったぜ! 口永良部島へ到着    
 このペアのスターンマンであるジョイカムさんが漕ぐふりをしながら実は空気を漕いでいる。そして時々パドルを頭上に持ち上げてくるくる振り回しているではないか。その事を筋に君はまったく気づかず漕いでいる。はたしてこの行為が先行しがちになるこのペアの速度調整なのか?それともたんなるジョイカムさんのサボリなのか?真相はこの黒潮海峡の深度600mより深い謎なのだ。

 そんなこんなを繰り返しながらも単調で感動の海峡横断約18kmを4時間足らずで終えて口永良部島東部の城ヶ鼻近くの海岸に上陸したのだ。もっともその前に海食洞を見つけたので「穴があったら入りたい!」と3つほど入り遊んでからの上陸だったが・・・
穴があったら入りたい  入ってみた  すごく美しい  フェリーから見た屋久島

 上陸したゴロタ岩の海岸から飛び込むと半端じゃない透明度の海が広がっていた。ちょっと潜るだけで様々な魚が見られる。しかもどれもでかい。小さなはずのオヤビッチャが手のひらサイズだ。いかにも南の海にいます!と主張しまくっているイラブチー
(ブダイ)とも目が合ってしまった。当たり前だが海中も黒潮なのだ。
 だがそれ以上に海峡横断を成し遂げたみんなの瞳の方が遥かに輝き澄んでいたぜ!
 ここからは口永良部島にそって沿岸を西に向かう。残りは約10km。まあ楽に行けるだろう。と思っていたのだが断崖、海食洞、滝と見所が多すぎてなかなか進まない。
沿岸沿いを遊びながら漕ぎ進む  ドラゴン滝
 これほど面白い島だったとは嬉しい誤算だ。中でも圧巻はドラゴン滝だ。本当の名前は知らないが地図にはドラゴンと書かれている。高さは優に50mは超えているだろう。まるでベネズエラのエンゼルホールだ。(見たこと無いけど。高さも20倍ほど低いけど)
 最後は強い向かい風に逆らいながら陸上スタッフの亜紀ちゃんの待つ本村(ほんむら)の港へ上陸した。

民宿口永良部のとても気持ちのいいベランダ  ごろ寝の人数も増えてくる 
 この島での基点となる民宿口永良部へ向かう。ここはオーナーの貴船さんが廃校になった木造校舎や取り壊しになった木造の工場の廃材を集めてコツコツと作り上げたとても素敵な宿だ。なにより玄関からみると居間の向こう側に東シナ海が広がり噴煙を上げる硫黄島が浮かんでいる。この景観はここに行かないと味わえない世界だ。悔しかったら行くしかないぜ!

 メンバーも声を上げたり、声もなく見入ったりしている。喫煙者は本当に旨そうにベランダでタバコをふかしている。それはそれ、ともかくビールだ!かんぱ〜〜い!!
 海峡横断と宿の雰囲気。なにより気持ちのいい仲間と骨の髄まで染み込むようにビールを何杯もあおった。
 さあ温泉だ。この島には3つの温泉がある。まずは一番効能が高いと言われている寝待温泉だ。だがこの温泉では思わぬ事態が待ち構えていたのだ。
くみちゃんの三味線と島歌 この温泉には以前は湯船が一つしかない、清く正しい混浴?だった。だが今は女性用に湯船が作られている。これで女性陣は安心して入浴できる。
 だが問題はもう一つだ。そこは男性用ではないのだ。我々が入ると婆ちゃんが3人入っていたのだ。しかし裸で入った我々はもう引き返せない。ニコニコ笑顔の婆ちゃんたちと仲良く混浴だ。今まで様々な混浴で楽しい思いをしてきた事もあったので今回は修行と懺悔と思い諦めよう。
 宿に帰り、火照った体を冷たいビールで冷やして口永良部島の夜を堪能する。旨くて心温まる宿の食事を満喫し、その後は歌姫ことくみちゃんの三味線と歌にまたまた満喫したのだ。

7月31日 これまた快晴だぜ! (最高気温32.3、晴れ、カヤック移動距離22.2km、カヤック移動時間4時間25分)
  
今日も穴、アナなのだ。  上部から水が滴り落ちてくる  こんな穴や あ〜んな穴がたくさんあるのだ               
 今日も元気だぜ!さあ口永良部島1周に出発だ。
 
本村港を漕ぎ出し最初の高崎を目指す。本当はサクッと1周するつもりだった。だが洞窟、海蝕洞、穴、アナの連続だ。“穴があったら入りたい“我々は引き込まれるように海食洞に入ってゆく。こうなればペースは落ちるに決まっている。
 野元語録には(実態は不明だが)「目の前の快楽の延長線上に明るい未来があるのだ!今が楽しくなければ明るい未来などあるはずが無い!!」とある。今が楽しければそれでいいのだ。
 そんなんで水が滴り落ちてくる海食洞や様々な形をした穴。それらを奇声や歓声を上げながら、いや叫びながら漕ぎ進む。面白すぎるぜ口永良部島!!
岬へ突入するHITOMIさん みんなケープノナーだぜ!
 最西端にある野崎を周回する。さすがにここは潮の流れが速く波が高い。気になるのはシーカヤック長距離が初めての
HITOMI夫婦だ。だが二人とも笑顔だ。これが今までの経験からくる危機管理能力からの判断なのか、単なる初心者がゆえの余裕なのかは定かではない。まあいいかぁ・・・
 岬を回りこみこれで全員ケープノナー(野崎を周回した名誉?ある称号)となった。ナゲシを回りゴロタ岩の浜に上陸。ランチとスノーケリングを楽しむ。ここでも海に入ったとたんにイラブチーと目が合う。本当に魚が濃い海だぜ!
 折崎を過ぎるとどこからか太鼓の音がする。目を凝らすと陸上班の亜紀ちゃんが太鼓を叩いて応援しているではないか。皆で手を振り答える。
 寝待温泉の海岸にある立神に着く。ここにも通り抜けられる海食洞がある。もちろん潜り抜けて楽しむ。まったく飽きない海だぜ!
 湯向温泉に行く途中でストームマシーン(ようするに強力水鉄砲)によるシーカヤックウォーズが始まった。それぞれが社会的地位もあれば名誉もあるだろう。(たぶん)だが今の皆はただのガキでありお転婆だ。
 ジョイカムさんが夢中になりすぎてパドルを流してしまう。それを今度は皆が持ちまわしジョイカムさんに渡さない。ようするにイジメだ。最後はジョイカムさんが皆にアイスクリームを奢ることで返してもらった。

口永良部島官庁街 AKKIEのギター
 湯向温泉に上陸してそのまま湯向温泉へ入る。ここは完全に男女別なので安心して?入れるのだ。お湯から上がり、口永良部島銀座?(お店が3件ある繁華街??)へ行きジョイカムさん奢りのアイスをいただく。それだけでは満足できないメンバーは酒屋へ走りビールを買い込んでいた。
 夜はAKKIEのギターで歌いまくる。芸のあるメンバーで面白く飽きないぜ!

8月1日 少し曇りだが午後からは完全なる快晴!
新岳&古岳登山開始 はじめは元気だ だんだん口数が少なくなる ずんきちの口がゆがんできた MIYAKOさんは相変わらず元気だ KOMUROさんは堪能している
 さあ今日はトレッキング(実は登山)だぜ!盛り上がろうぜ!!

 登山口・・・おとと、トレッキング口の砂防ダムに到着。早速激しい登坂をはじめる。
 雨が降れば土石流が流れる涸れ川に沿ってどんどん標高を稼いでゆく。最初は元気だったずんきちもその体の小ささが災いして遅れだす。なにしろ我々がひょいと登れる岩も彼女はズリズリと這い上がるしかないのだ。
 だがHITOMI夫婦はそんな坂をものともせずに登り続ける。とくにMIYAKOさんはいつでも笑顔が絶えない。本当にアウトドアが好きなんだなぁ・・・
火口に到着 笑顔のくみちゃんと後ろでくたばっているAKKIE 火口が美しい 古岳登頂! 嬉しさを体で表現してみました 疲れたを道路上で表現してみました
 大量の水分を摂取し、またそれ以上の汗を大地に吸い込ませながらも新岳の火口の縁に到着したのだ。

 ものすごい景観だ。隔てるものは何も無い火口の縁に立ち活火山の噴火口を覗き込む。来てよかった。
 その後、ガレ場で苦労した人もいたが縦走して古岳の山頂に立つ。海が望めるものすごい景観だ。こんな場所に来ると突き指筋に君が離れた岩の上に座り込む。彼も高いところや変わったところが好きなようだ。なんだか私と同じニホイがする。
警人=ポリンチュ ランチ食べて、写真撮って下山。そしてまたまた口永良部島銀座でアイスとビール。しかし思わぬものに遭遇した。そう、それは警人と書いてポリンチュと書かれたTシャツを着た大阪県警の警察だった。
 大阪寝屋川市の女性失踪事件があり、死体損壊容疑で指名手配された男が口永良部島に潜伏中との情報があったのだ。それの捜査に来ていた大阪府警捜査1課の捜査員だ。
 彼らに撮影を願い出ると快く引き受けてくれた。なお極秘情報だが、このTシャツは大阪の警察学校の売店で販売されている模様。しかも売店が勝手に作り販売しているようだ。もちろん学校の生徒?は面白がって買うそうだ。さすが大阪やでぇ。


縁側でスイカ 夕方は宿の貴船さんが出してくれてスイカを縁側で種は外へプッと出しながら食べたのだ。これぞ清く正しい日本人のスイカの食べ方だ。

8月2日 今日もいい加減にしろよと言いたくなる快晴 (最高気温33、晴れ、カヤック移動距離24.8km、カヤック移動時間4時間04分)
朝日に向かい漕ぐ
  鏡のような水面  一奏の海岸にゴール

 さあ今日が最終日だ。ビシッと決めるぜ!午前7時には湯向を漕ぎ出す。今日は波、風まったくなく鏡のような水面だ。時速7〜8kmで快調に進む。
 なによりジョイカムさんがエアパドルを止めて真面目に漕いでいる。これぞ進化か成長か?
 視界はそれほどクリアではないがどんどん屋久島が近づいてくる。そして3時間ほどで屋久島に到着。
 その後は沿岸に沿って一奏を目指す。だがやはり甘くは無かった。最後で強烈な向かい風に見舞われる。
 そして一奏に感動の到着。皆でゴールのハイタッチ!海に飛び込み写真を写し今までの行動を再確認する。

終えて。
 今回も天候にも恵まれたがなにより素晴らしい参加者に恵まれた。我々ガイドが出来る事はそれほど多くは無い。参加した皆さんと一緒に作り上げ、感動や苦しさを共有して遂行するのが今回のアドベンチャーツアーだ。本当にありがとう!そしてまたどこかの海や飲み屋でお会いいたしましょう。なんて真面目な事を書いてしまったぜ!
 メンバーはツアー終了後、それぞれ故郷や屋久島の山、そして懲りない人は海へと旅立っていった。
 来年も新しい場所でやるぜ!

平内海中温泉。かごしまカヤックスの貴重備品の「ゆ」暖簾。  口永良部島山中で見た鹿

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