中之島の漁港にあるスロープに引き返す。
9月17日 晴れ  中之島


朝起きると体が何となく重い。
しかし今日は口之島に行きたい。
風が多少強いようだが出発する。
港を出たとたん激しい波に翻弄される。
思ったより向かい風が強く波も激しい、カヤックの速度も2〜3km/hしかでない。
一時間ほど漕ぐが、港から2kmしか離れていない。
体の調子も悪くなり何回も吐き、しまいには胃の中の物をすべて吐いてしまった。
力が入らないここで力ついたら大変だ、引き返すことにする。

まさか晴れてはいるが北風が吹く、そろそろそんな季節に入ってしまったのか。
これからの行程は黒潮に流れを横に受けながら向かい風に向かって漕がなければならないのか。
体も遠征に出て3ヶ月以上になる、肉体的にも精神的にもかなり疲れている。
ともかく明日は北風がおさまることを期待しよう。

久しぶりに御岳が見えた。
9月16日 晴れ 中之島


台風が急激に遠ざかって行く。
まだ海は荒れているが、これから収まってくるらしい。
北風が気になるが明日は口之島に向かおうと思う。
そして台風17号の影響がくる前に屋久島に行きたい。
秋雨前線も気になるし行けるうちに行こう。

お年寄りに聞いたのだが、中之島には昭和30年頃は2000人ほどの人口があり、パチンコ屋や飲み屋も数件あったそうだ。
児童も200人ほどいたそうだ。
炭を作っていたと言っていた。
今は人口は180人ほどで児童が17人ほどになっている。

9月15日 暴風雨  中之島


昨夜のオリンピックサッカーは燃えた。
宿のテレビの前で奇声を発し、畳を叩いたりして1人で盛り上がった。
宿の人たちはサッカーより私を見て盛り上がっていたようだ。

朝起きたら暴風雨だ。
天気予報を見たら台風が近づいてくるじゃないか。
海上は見渡す限り白い波が荒れくるっている。
がっかりするがしかたがない。
今夜出航予定の「としま」も欠航になった。
明日も出向出来るかわからないそうだ。
島への食料の入荷がまたまた遅れる。
ビールも数缶しか残っていない、買いすぎたら他の人が困るので2缶だけ買う。
雨の中トレーニングに出かける。
汗をかけば精神的に落ち着く。
フィリピン沖にある熱帯低気圧が気になるが。
まあいつかは行けるだろう。

佐世保の松村さん親子。
9月14日 晴れ 中之島


台風は少しづつだが遠ざかりつつある。
風もだんだん弱くなってきている。
昨日まで防波堤を越えていた波が、越えなくなってきている。
しかし漁船などは係留されたままで、海に乗り出せる状態ではない。
佐世保からプレジャーボートで釣りにやってきた松村さん親子も中之島に閉じこめられている。
体がなまってきだしたので簡単なトレーニングに入り再スタートに備える。
今夜はオリンピック・サッカー予選が行われる。
気合いを入れて応援するぞ!

十五夜の綱引きが行われる。

中之島の八月踊り。
9月13日 雨  中之島


昨夜は十五夜の綱引きと八月踊りが行われた。
綱引きは子供と大人が一緒になって行う。
綱引きの唄?を唄い定期船「としま」からもらった綱を引き合う。
その後、東区の公民館に移動して八月踊りを踊る。
諏訪之瀬島で見たように、男衆が唄を唄い、太鼓をたたいた女衆がそれに答えるように唄う。
それに島民が踊りながら続く。
中之島では指笛も加わる。

今度は踊りに参加するために島を訪れてもいいな。

海上は昨日より風が強くなり、さらに白波が大きくなった。
台風はゆっくりと動いている。
今日も読書と温泉ですごす。
役場には図書室があるので助かる。

大きな波が打ち寄せてきた。
9月12日 雨 中之島


台風が速度を落とし、しかもコースが変わってきた。
中之島を取り巻くように北上するようだ。
台風が去ってもしばらくは海上は波が高いだろう。
海岸にゆくと防波堤を越える波が打ち寄せていた。
明日はもっと高くなるようだ。
海岸に面した道路も波がかぶるようだ。
やることもなく本を読んですごす。

タイモ(田芋?)がある
里芋の一種ですり下ろし
鉄板で焼くと旨いそうだ。
9月10日 雨 中之島


台風は速度を落とし勢力を増しながら近づいてくる。
最悪だ、これでまたもや出発が遅れる。
ある程度はトカラ列島で苦労するとは思っていたが、これほど台風が多いとは。
定期船も止まっているし食料の調達も出来ない。
それに体の疲労も蓄積しているのでずっと宿に泊まっている。
そろそろ資金も底をつきだした。
最後までやり抜きたいので何とかしなければ。

停滞が続いているが、さすがに気落ちしだした。
海を見てはぼーっとしてるか、宿に閉じこもっている。
温泉に入ってビールを飲んでいますと日記に書いたりしているが、いらつき何もしたくないのが本音だ。
ささいなことで怒っている自分に気づくときもある。
そして自分の未熟さに又、腹をたてる。
ここが正念場なんだろう。

早く台風が去り、漕げるチャンスがほしい。

シーカヤックを宿の倉庫に移し台風に備える。
9月10日 晴れ 中之島



風がだんだん強くなってきた。
台風14号がトカラ方面に近づきつつある。
港では船舶が台風に備えロープを張り直したり、陸揚げしたりしている。
シーカヤックは港の奥の草むらに置いていたが、波で洗われるときもあると言われた。
そこで高台にある宿の倉庫に移動する。
沖合を見ると水平線が大きな波でギザギザになっていた。
そろそろ「うねり」が来ているようだ。
明日からシケるかもしれない。

今日もこれといってやることがない。
温泉と読書ですごす。

ガジュマルに囲まれた道があった。

ホルスタイン柄の山羊がいた(我が家の猫と同じ柄だ)。
9月9日 晴れ  中之島


海上のうねりはそれほどでもないが、風と黒潮が反発し巨大な潮目(不規則な波が立ち上がり非常に危険)が発生していた。
諏訪之瀬島からの海上も、見渡す限り白い波が立ち上がっている。

時々は海を見に行くが、一日中本を読み、温泉に入って過ごす。

万延元年「咸臨」航米(星亮一著)を読む。
咸臨丸が太平洋を越え、渡米したときの苦労が書かれていた。
勝麟太郎艦長が船酔いでほとんど指揮がとれなかったこと、
福沢諭吉らが好奇心をもち観察したことなど、
そしてアメリカの乗組員達と苦労をともにすることで心がつながってゆく事などが書かれている。
私も沖縄〜鹿児島をシーカヤックで漕ぎきった人たちと話がしたい。
時期は違うが、同じ海域で苦しんだ仲間として会ってみたい。

御岳はガスがかかり全く見えない。
9月8日 雨 中之島


昨夜フェリー「としま」が鹿児島に向かった。
台風のためしばらくは欠航が続くかもしれない。
役場出張所の横に立っていた石碑の「汽船もまた道路なり」と書かれた言葉が実感として感じれる。
新型船が就航したが、波や風によっては停泊できない島もある。
大きな防波堤があるが、それを乗り越える大きな波が打ち寄せる時もある。
今日は一日中雨だった。
台風対策としてカヤックを宿の倉庫に移動する。
ほかには特にやることもなく、読書と温泉に何回も入りすごす。

「十島村歴史民族資料館」のボゼ。

港から2時間以上もかかった「七つ山キャンプ場」
9月7日 晴れ 中之島


台風15号が近づいてくる。
今日は宝島停泊予定だったフェリー「としま」が急遽、鹿児島に上ることになった。
その後は台風が去るまで運航中止になる。
島の人たちは台風の準備に取りかかりだした。
牧場にある「十島村歴史民族資料館」に見学に行く。
役場出張所に申し込み、館長の折田さんの案内で見学させてもらう。
折田館長の軽快な案内と、ていねいに展示された資料で楽しい時間を過ごさせていただく。
すこし賢くなったような気がする。
その後、口之島の北側にある「七つ山キャンプ場」に歩いて行く。
コンクリート舗装の上をシマサバ(サンダル)で歩くのはきつい。
集落から2時間以上もかかった。
来た道を引き返す。
底なし池を見学に行く。
静かで綺麗な湖だ、こんな小さな島にこんな景色があるとは驚く。
しかし「底なし池、周囲2km深さ4m」の表示には「底なしじゃないの?」と笑ってしまった。
帰りは通りかかった車に乗せてもらう。
宿に帰り早速、西温泉に行く。
夜は東温泉にはいる。
まさに温泉三昧だ。

鹿児島大学野鳥研究会の学生を見送る。
9月6日 晴れ時々雨 中之島


あさ天気予報を見たら台風が3つも発生しているではないか。
さすがに笑ってしまった。
ともかく開き直るしかない。
温泉に入りのんびり過ごす。
鹿児島大学の野鳥研究会の学生が来ていたので話をする。
アカショウビンなどが見れたそうだ。
フェリーで帰る彼らを見送り、またまた温泉へ。
だらだら過ごしていたら夕方になった。
こんな日があってもいいだろう。
どうせしばらくは口之島で停滞だし。

諏訪之瀬島の八月踊り。

中之島の西温泉に入る。
9月5日 晴れ 北の風 波5m 諏訪之瀬島〜中之島
本日航行33km 約5時間半


昨夜は八月踊りが公民館で行われた。
女性が、男性の唄と掛け合うように唄い太鼓をたたく。
それを先頭に島民が輪をかいて踊る。
素朴な踊りだが太鼓の音と唄が解け合い、三日月の夜空にとけこんでゆく。
今日は中之島を目指す。
向かい風だがそれほどカヤックのスピードは落ちない。
黒潮に流されないように西側に進路を取り順調に距離をのばす。
しかし中之島が近づくとやはり潮目があり、波が立って来だした。
漕ぐのを止めるとすぐに東側に流される。
それでも順調に進んで行くが体にこたえ、頭痛もしてきた。
今までの蓄積疲労がかなりきている。
それでも予定より早く到着する。
上陸後すぐに西温泉に入る。
とてもさらっとした温泉だ。
宿を決め散歩に行く。
上の方に牧場があった。
なんだか久住高原を歩いているようだ。
十島村博物館や天文台・総合運動公園もある。
帰りに十島村でただ1人の駐在さんと挨拶する。
1人で七つの島を管轄している。
とても優しい親切な方だった。

泊まった宿。
9月4日 雷雨 諏訪之瀬島


朝、出発のため港に向かい天気を確認する。
雷注意報が出ている。
海の上でカーボンパドルでポツンと漕いでいる所に雷が落ちたらたまらない。
今日の出発は中止する。
宿に帰ったとたん激しい雷と雨が降り出してきた。
危ないところだった。
一日中寝ていた。
疲労もたまっているので良いだろう。
「山で死なないために」と言う本を読む。

トカラ列島でももちろん車は走っている。
ガソリンは各家庭が自分用のドラム缶を所有していて、それを定期船で鹿児島に運び給油するそうだ。
もちろん輸送費に一缶あたり¥3000ほどかかるそうだ。
やはりそんな点でも大変だなと思う。

明日は出発出来そうだが、台風14号も発生したようだ。
明日朝決めることにする。

ヤマハがリゾートとして開発予定
していたが滑走路だけが残された。

ほとんどの島民が参加する「夏祭り」。
9月3日 晴れ 諏訪之瀬島


昨夜は台風のために延期していた「夏祭り」が行われた。
ほとんどの島民(70名足らず、小学生10名、中学生4名)が参加し、青年団や学校の先生たちによる出店もあった。
そこでは、焼き鳥¥20・生ビール¥200・おでん¥200・焼きイカ&トウモロコシ¥50などなど。
市販の花火による「花火大会」や「ビンゴゲーム」などで盛り上がった。
質素だがとても楽しいお祭りだった。

朝起きると体調が悪い、風をひいたようだ。
宿の隣にある「諏訪之瀬島診療所」に行く。
担当者に体温や喉を見てもらい、鹿児島市の「日赤病院」に電話で処方を聞き薬をもらう。
怪我などの際はインターネットで画像を送付し、処置の指示をもらうそうだ。 私は過労のため扁桃腺がはれていた。
薬をもらい宿に帰り寝る。
午後から飛行場に行ってみた。
ここは数十年前ある企業がリゾート開発のため飛行場を作りそれから色々と行おうとしたらしいが、今は飛行場だけがぽつんと残されていた。
使われていないと聞いていたので痛んでいるのかなと思ったが、使用可能だ。
緊急の際は使うのだろう。
明日は中之島に向かいたいが体調が心配だ。
明日の朝決めよう。

潮目ではたくさんの水鳥が
飛び魚を追っていた。

諏訪之瀬島は火山島。
牧場に立つと高原にいるようだ。
9月2日 雨のち晴れ 南東の風 波1.5m 悪石島-諏訪之瀬島
本日航行 23km


明け方から小雨が降る。
しかし大したことはない、出発の準備に入る。
奈良の吉田君に見送られ漕ぎ出す。
黒潮本流に捕まらないよう、悪石島の荒々しい岸壁のぎりぎりを進む。
その後黒潮に流されないよう西側にある平島に進路を向けすすむ。
今日は黒潮の流れが弱いようだ。
上げ潮の時間帯をねらい漕ぎ出したがいい感じだ。
何回かスコールに遭うが快調にすすむ。
しかし体調が悪く船に酔ってきだした。
数回吐いてしまう。
だが単独行なので気分が悪かろうと、疲れてしまおうと自分で解決するしかない。
腕に力が入らないが漕ぐしかない。
途中で定期船「としま」とすれ違う。
諏訪之瀬島まであと少し。
思ったより早く到着する。
島では園田さんに迎えていただく。
宿に入り休む。
今夜は夏祭りがあるそうだ。
遊びに行ってみよう。

東シナ海に沈む夕日。
9月1日 晴れ  悪石島


天候が回復してきだした。
気になっていた潮目もだいぶ小さくなっている。
もちろん黒潮の激しい流れは変わらないが、だいぶましになってきた。
明日諏訪之瀬島に出発することにする。
お世話になった人たちに挨拶をし、準備に入る。
温泉にもたっぷり入り、海岸にテントを張る。
明日は約20kmしかし黒潮の影響を受けるので6時間ぐらいかかる。

港から標高150あたりに
点在する上集落に向かう一本道。

途中で三頭の子牛が草を
ほおばっていた。
8月31日 曇り後晴れ 悪石島


港にはものすごい波が打ち寄せている。
飛沫が風に乗り、山の方へふりかかる。
わざわざ山手の方に家や畑があるのはこのためだろう。
山頂は厚い雲に覆われている。
港から集落にのびる道を歩いてみる。
途中で子牛が三頭、道ばたの草をほおばっていた。
ここの牛は実に綺麗だ。
とても大事に育てているのが判る。
港から30分ほどで上集落に着く。
ここには小中学校や商店、郵便局件役場出張所などがある。
山から見る海は、うねりで一面白くなっていた。
台風は12号は北へ去り、13号は中国大陸方面に向かっている。
後数日で出発出来そうだ。

諏訪之瀬島がみえる丘に行き
海流をチェックする。
8月30日 曇り  悪石島


台風12号がまだ来ていないのに13号が発生した。
12号の後を追うコースをたどるようだ。
十島丸の欠航の放送がされていた。
いつになったら次の島に漕ぎ出せるのだろうか。
借りたスクーターで島の北側に行き諏訪之瀬島を見に行く。
海峡には巨大な潮目(海流が海底の地形や様々な条件で作られる波の高い地帯)が罠のようにあちこちに待ちかまえる。
しかしかなり西側を行けば何とかなりそうだ。
問題は黒潮の流れに打ち勝って西側に向かえるかだ。
スピードと持久力が絶対必要だ。
港に戻り、今日3回目の温泉に入る。

砂蒸し風呂、横になるだけで汗が噴き出す。
8月29日 曇り時々雨 風強し 悪石島


強い雨で起こされる。
台風12号は沖縄南部でゆっくりと動いている。
さっさと過ぎ去ってほしいのだが、しばらくは海上は荒れ続けるだろう。
海上は見渡す限り白い大きな波が立っている。
時々激しい雨が降るので宿にてのんびり過ごす。
今日は砂蒸し風呂に行ってみる。
キャンプ場の横に綺麗な東屋があり、そこが砂蒸し風呂だ。
自分で砂をかけるよう鍬が置かれていた。
かなり熱く砂の上に寝て毛布を被るだけで汗がどんどん吹き出してくる。
私は数分で抜け出す。
近くの露天風呂で砂と汗を流す。
目の前には太平洋と東シナ海が広がる。

「ほぜ祭り」の被る仮面が置いてあった。
8月28日 曇り 風非常に強し 悪石島


朝起きると強い風が吹いていた。
バイクで最高点に行こうとしていたが、あまりに風が強いのでやめる。
上集落を散策する。
小さな小屋(お寺でした)の裏に「ほぜ祭り」に使われる仮面が置かれていた。
竹の骨組みに新聞紙を貼り、色を塗って仕上げる。
お盆行事で被り赤い色の泥を見ている人に塗りつける。
塗られた人は清められる行事だ。
台風さえ来なかったら見れたのに残念だ。
知人が出来たので、また来年でも見に来よう。
悪石島は人口61人、小学生3人中学生3人、主要産業は酪農の島だ。
初夏は飛び魚、秋には脂ののったサワラが取れるようだ。
昨夜は宿で伊勢エビの味噌汁が出た。
伊勢エビは取れたての刺身も旨いが、味噌汁も最高だ。
鰹節を作る段階ででるゆで汁を、どんどん煮詰めてどろどろにした「につめ」を食べさせていただく。
かなり昔に食べた懐かしい味がした。
宿のご主人は「これがあるから元気なんじゃ」と焼酎を飲みながらなめていた。
フェリー「としま」は台風のため欠航になる。
私もしばらくは悪石島滞在だ。

東シナ海を眺めながらの露天風呂
8月27日 晴れ 悪石島


朝食に起こしていただき、食事後も眠りにつく。
フェリーが着いたので港に行くが足下がふらつく。 子供や大学生たちが乗り込んで行く。
おばあさんが「孫も帰った、これで夏の楽しみも終わるね」とつぶやいていた。
宿に戻りまたもや眠る。
夕方やっと起き出し温泉に行く。
掃除をやろうとしていたので手伝わせてもらう。
二つの露天風呂をはじめ4つの風呂を洗った。
自分で洗った風呂に入るのは、ただ入るだけよりずっと気持ちがいい。
東シナ海に沈む夕日を眺めながら、浮き世の垢を流す。
と言っても今の私はほとんど浮き世離れしているが。
有川睦男さんからバイクをお借りした。
明日から悪石島探検だ。

朝焼けの出発(小宝島)
8月26日 晴れ 小宝島−悪石島
本日航行 38km


朝6時小宝島を後にする。
朝焼けの中を横風を受けながら進む。
今日から黒潮本流に入るので緊張する。
この先は黒潮は東側に流れるので、南東風は相殺されるはずだ。
それでもセオリーどおり西よりに進む。
確実に距離を稼ぐが、やはり東に流されようとする。
後15kmぐらいの地点から激しい波が襲ってきた。
黒潮と反するうねりと風が起こしているようだ。
カヤックを翻弄し、何回も転覆しそうになる。
カヤックの速度も落ち、なかなか距離が稼げなくなる。
少しでも休むと東側に流される。
ここで流されれば救助を呼ぶしかない。
ほとんど休憩も取れなくなり必死になって漕ぐが進まない。
激しい揺れで数回吐いてしまったが、そのたびに気合いを入れ漕ぐ。
予定より遅れたが何とか悪石島にたどり着いた。
港のスロープでしばらくうずくまっていた。
鹿児島のトライアスロンクラブの知人が迎えに来てくれた。
温泉に案内していただき一息着く。
海上では「こんなに黒潮が厳しいならこれからは進めないな」と
悲観的な考えになっていたが、温泉に入りビールを飲むと
「まあ明日考えよう、なんとかなるさ」といつものお気楽モードに入っていた。

海峡横断の途中で椰子のみが流れていた。

海岸端の露天風呂に入る。

8月25日 晴れ 宝島〜小宝島
本日航行 14km


今日は漕がない予定だった。
しかし海を見ていたら漕ぎたくなり急に出発する事にする。
島でお世話になった方々に挨拶をすませ、天然塩を作っている牧口さんに見送られ午前10時出発する。
思った通り快調に進む。
だがやはり外洋だうねりと風でかなり翻弄される。
約2時間後、小宝島に到着する。
この島は人口41人小学生3人中学生1人の島だ。
温泉が海岸と集落内にある。
早速、海岸の露天風呂に入る。
撮影用にタオルを巻いたが、カメラをしまうと裸で歩き回った。
代表の岩下秀行さんに会いに行く。
岩下さんは海を渡る蝶の研究者として雑誌で見たことがある。

台風がまたもや発生しそうだ。
明日は悪石島にわたる予定だ。